【狩猟】必殺仕事人! 狩猟2年目の風呂場で隠密解体術
- 2015/08/20
- 17:12
2015年8月15日に東京は足立区で開催された猟友会主催の狩猟免許講習会は、史上最多約240名の受講人数だったそうです。
狩猟免許の取得者は増加の一途だそうですが、その中でも都市部に住むハンターは全国的にも数千人はいるのではないでしょうか。
庭付き一軒家でガレージがあったり、専用の解体小屋をお持ちのハンターなら、獲物の運搬・解体場所の問題はないかと思いますが、都市部のハンターには賃貸の集合住宅に住んでいる方も多いはずです。
かくいう私も賃貸集合住宅です。
かつて、解体場所に困ったあげく、あろうことか公園でハクシビンの解体をやってしまって警察に連行されるという失敗がありました。
今回のお話は、家人に見つからないよう、風呂場で密かに解体をやってのけた話です。
狩猟2年目となれば、解体スキルも上がり、このような必殺仕事人的な作業もこなせるようになります。
私もまだまだ経験の浅い身のくせして、偉そうな発言をして恐縮ですが、これから狩猟を始められる方の参考になればと。
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猟友会グループ内で、『アライグマを食べてみたい。罠で獲れたらください』と他力本願なことを言いまくっていた私。
猟期に入って早々にその機会はおとずれ、『獲れたからやるよ』との連絡をいただく。
連絡をもらった時、1時間後に人との約束を控えていたのだが、罠に閉じ込めっぱなしも可哀想なので、すぐに受け取りに行くことにした。

こちらがそのアライグマ。
なんとも可愛い顔をしている。
北米原産のアライグマは、1970年代に放送されたアニメ「あらいぐまラスカル」の人気に乗じてペット業界が輸入を始めた。
幼少期は無邪気で可愛いアライグマだが、成獣となると、人に懐かず、手に負えないほど乱暴になるという。
もともと、「ラスカル」とは英語で悪党やならず者という意味であり、アニメの原作も日本で放送されたものとは異なり、人間に天誅を下される悲しい話のようだ。
ペットとしてアライグマを飼ってはみたものの、その凶暴さゆえ飼うのを諦め、山に捨てる飼い主が多くいたようだ。
それが、野生化し、現在では農作物への食害も甚大。 http://www.amazon.co.jp/gp/product/4806712345/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4806712345&linkCode=as2&tag=salarymanhu07-22" target="_blank" title="特定外来生物">特定外来生物として指定されている。
さて、この特定外来生物は、生きたままの運搬が禁じられているので、空気銃で止め刺しをしてもらい、持ち帰ることとなった。
私の狩猟におけるポリシーは、"獲った獲物は喰って供養"することであり、狩猟の世界には「喰い供養」という言葉があるそうだが、それをそのまま信条としている。
さて、無事にアライグマを受け取れたはいいが、すぐに内臓出しをして冷却しないと肉の質が落ちてしまう。
いつもの、獲物を解体する沢に行く時間はないし・・・。
よし!リスクはあるが、家の風呂でやるか!
知人との約束の刻限が迫っている。妻に見つかり、怒号を受けること止む無しと判断した。
いや、というよりは、風呂場で隠密に、妻に見つからず解体をやってのける自信が私にはあった。
狩猟2年目。 経験年数の割には、猟友会のおかけで多くの獣を解体してきた。
去年までの俺とは違う。これまで捌いた獣たちのおかげで、俺の狩猟スキルは上がっているのだ。
それを、証明してみせる!! それこそが、今の俺にできる「慰霊」というものだろう?
自宅までの帰りの車中、「風呂場☆de☆解体」の手筈を頭でシミュレートする。
知人との約束の時間までを逆算すると、解体全てを行うことは不可能だ。
知人合うまでに内臓出しをして、帰宅後に皮剥ぎして枝肉にするという、二段階でやろう。
帰宅すると妻はソファに横になり、テレビを見ていた。
しめた!"南極のトド状態"となっている。 妻は、一旦ソファに横になると飯かアイスクリームというワードにしか反応しなくなる。
今がチャンスだ!急げ!!

まずはアライグマを風呂場に搬入。
空気銃で頭を撃ち抜かれ、ご臨終。南無。
第一段階である内臓出しの制限時間は15分。
即座に作業に入る。

腹を開け、骨盤を砕き、内臓全てを出してから、シャワーで血を洗い流して、クーラーボックスに詰めた。
冷却の為、板氷を腹に詰める形にして蓋をする。

次に血が付いた風呂場の掃除だ。
アライグマの内臓は、ネットで探しても食べた話は聞かないので、今回は捨てさせていただく。

血痕をシャワーと石鹸で洗い流して、風呂場は何の痕跡もない状態となった。
クーラーボックスに入れたアライグマと残滓は一旦、玄関外へ。
隣の住民もこの状態で、まさか中にアライグマが入っているとは思うまい。
第一段階の内臓出し作業は、なんとか制限時間の15分内に終了。
知人との待ち合わせ時間に間に合うことができた。
さて、帰宅後は、第二段階である毛皮剥ぎと枝肉にする作業。
妻は外にアライグマの死体が置いてあるなど露にも思わず、夕食を終えて再びテレビを見ている。
この時ほど、妻が「無趣味でテレビが娯楽」であることに救われたことはない。
風呂場にクーラーボックスを持ちこみ、アライグマを取り出す。
うむ、よく冷えている。
通常、私は一人で獲物を解体する場合は、木などに吊るし、固定して毛皮剥ぎを行っている。固定すると毛皮剥ぎがやりやすいからだ。
しかし、風呂場で獲物を吊るすのは困難だ。
仕方なく、己の片足でアライグマの手の甲、足の甲を踏んでから位置を固定して毛皮剥ぎを行った。
風呂場の床に置いての皮剥ぎは、やりにくかったが、それでも要領よく毛皮を剥いでいった。
毛皮は一通り剥ぎ終わり、後は手・足首の切断というところで、己の手足がむず痒いことに気付いた。
ん? 砂などのゴミと思ったこれ、ノミじゃないか!?
おっわ!?気づけば無数に!! そして・・・包囲されている!!
わわわ・・・伏兵じゃ! アライグマの伏兵じゃ!!

突如?としたノミの襲撃に、三国志さながらのシーンが頭に浮かぶ。
この数、まさに「蚤ハハハハハ(※1)」な状態じゃないか!
えぇい!ノミ共!俺は急いでいる!!邪魔だ!!
私 『水遁・水断波!!(※2)』

蚤衆 『ぐぅわぁぁぁぁ!!』
蚤をシャワー水圧MAXで押し流し、作業再開。
残る手足首の切断をし、枝肉の状態にする。
※1「蚤の歌」(のみのうた、露:Песня о блохе)は、モデスト・ムソルグスキーが1879年に作曲した歌曲
※2 漫画『NARUTO -ナルト-』およびテレビアニメの『NARUTO -ナルト-』、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』、劇場版の術

最終的にこの状態にして、ジップロックに入れてから、冷凍庫の奥底に詰め込み、ミッションコンプリート。
(写真左が後ろ脚、右が前脚)
やった・・・やったぞ!
近隣住民にも家人にも見つかることなく、解体作業を自宅の風呂場でやってのけた。
俺は確実に成長している! 俺が捌かせてもらった天国の獣たちよ、見てくれているか━━━
とまぁ、こんな具合で自宅での解体を経験しました。
結局は、残滓を捨てる問題が出てくるのですが、止むをえない状況の時には風呂場での隠密解体も選択肢に加えてはいかがと。
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